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篠笛コンサート「島風2020」を開催しました。

2020年10月28日 / 今日のTIMA

山田安紀(伊東豊雄建築ミュージアム)

2020年10月25日(日)、篠笛奏者の佐藤和哉さんをお迎えして、篠笛コンサート「島風2020」を開催しました。
佐藤さんに公演をお願いするのは、昨年に引き続き、2回目となります。

会場は島内にある伊東豊雄さんが設計したもう一つの美術館、岩田健母と子のミュージアムです。

そして今年も大山祇神社の参道にお店を構える「大三島みんなの家」が出店し、ドリンクや島の旬な食材を使ったスイーツを販売してくださり、公演前のひと時を楽しませてくださいました。
イベント限定で販売する「伊東さんクッキー」も人気だそうなので、イベントの際は、ぜひ購入してみてください◎

©吉野かぁこ

©吉野かぁこ

公演は秋らしい穏やかな天候に恵まれ、唱歌「この道」からスタートしました。
佐藤さんの音色がのびやかに会場を巡り、ミュージアムも楽器の一部になったようです。
「二十一世紀ノスタルジア」と評される佐藤さんの演奏に引き込まれ、来場者の皆さんもとても心地良さそうなご様子でした。

コロナ禍のため定員をぐっと減らしての開催となり、感染防止のため客席も十分に間隔を空けることになりましたが、点在する44点の彫像が人と人との間を繋いでくれたように思います。
ゆったりと客席をとることができ、さらに彫刻が一つ一つが際立ち、ある意味、贅沢な空間になったのかもしれません。

©吉野かぁこ

中盤で演奏された「たてやま囃子」は観客の手拍子に合わせて演奏されました。お祭りで吹かれる曲で、軽快なリズムが印象的です。佐藤さんは演奏しながら踊るように、観客や彫像の間を巡ってくださいました。

市内でもお祭りが中止になるなど、寂しい思いをされた方も多いかと思いますが、コロナ禍で下を向きがちな気持ちも、この軽快な曲により、明るい気持ちになった方も多かったのではないかと思います。

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その後は子守歌の「ゆりかごのうた」と「さちねうた」を演奏。
佐藤さんがお子さん二人のお父さんでいらっしゃることもあり、子どもに聴かせるような優しさに溢れた音色でした。
佐藤さんの演奏は、表情から動作に至る全身で曲を伝えてくださるので、曲の情景が目に浮かぶようでした。

彫刻もそっと耳を傾けているような、会場が温かな雰囲気に包まれました。

©吉野かぁこ

唱歌からオリジナル曲まで豊かなバリエーションで観客を魅了し続けた佐藤さんの演奏は、鳥のさえずりと共に会場に響き渡り、特別なひと時を作ってくださいました。

©吉野かぁこ

後半は建築家の伊東豊雄さんにも登壇いただき、佐藤さんと対談をしていただきました。
伊東さんは今回の公演を楽しみにされていたそうで、昨晩からどのような演奏になるのか、思いを巡らせていたそうです。

©吉野かぁこ

はじめに伊東さんから佐藤さんが篠笛奏者になった経緯について質問されました。

学生時代、洋楽に影響を受けていた佐藤さんは、トルコへ旅に行った際に日本人としての音楽を始めたいと強く思われたそうです。
シンガーソングライターを目指された時期もあったそうですが、故郷の祭「唐津くんち」に参加していたこともあり、お囃子で使用していた篠笛の演奏で自分の表現を追求したいと考え、その後、歌うように篠笛を奏でるスタイルが確立されたそうです。
また篠笛の音については「文化的な音でもあるものの、私は現代の感性で演奏することが強みだと思っているので、新しい篠笛の形、表現方法をやっていきたいと思っています。」とお話してくださいました。

現在、奏者、作曲家として大活躍されている佐藤さんの青春時代の想いを聞きながら、伝統を護りつつ、自分の表現を追求されている様子を伺うことができました。

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そして伊東さんからもご自身が考える理想の建築について「桜の下に幔幕を垂らして人々がお花見をするのが理想の建築です。自然の中で幕を張っただけで特別な場所になり、取り払えばもとの自然に戻る。建築としては無理な話ですが、岩田ミュージアムもそのイメージに近く、壁をまわしただけの空間です。」と話されました。

また「たてやま囃子」を演奏された時に、佐藤さんが観客の間を自由に歩きまわりながら、演奏された様子を見て、とても感動されたとのこと。
岩田ミュージアムの彫像の配置は、西洋のように左右対称に整然と並べられているわけではなく、余白をつくることで自由な空間が生まれる日本的な配置にしているため、その余白の空間を活用した佐藤さんの演奏がとても喜ばしかったそうです。

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そして佐藤さんの曲作りについて話が移り、
佐藤さんは「自然の風景など心が沸き立つ感動を覚えた時に、音楽があることでその景色がより印象的になるにはどうしたらいいかを考えます。」とお答えになりました。

伊東さんは「岩田ミュージアムは海が直接見えないけど、海を想像できる空間です。壁で覆うことで周りの景色の見え方が変わってくると思う。周囲の環境がより美しく感じると思っている。佐藤さんも自然をただイメージするだけでなく、奥にみえるものを創造しているのだと感じました。」と共感されている様子でした。

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佐藤さんの演奏、伊東さんの建築、岩田さんの彫像を堪能した後に、こうして作り手のお二人から、ものづくりに対する想いの一端を伺うことができ、今回の公演がより印象深いものになりました。

今回、佐藤さんサイドのご厚意でyoutubeでライブ配信を行い、多くの方に聴いていただけるようにとご配慮くださいました。
当日の様子は後日、youtubeでもご覧いただけますので、改めてご報告しますね。

佐藤和哉さんをはじめ、今回の公演にご協力くださった皆さん、ご来場いただいた皆さん、どうもありがとうございました!

次回も多くの方とこうしたひと時を共有できるよう、願っています。

【演奏曲】
・この道
・空色の想い出
・たてやま囃子
・われは海の子
・望郷
・ゆりかごのうた
・さちねうた 
・桜色のワルツ

写真:吉野かぁこ