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トークイベント「自然と人がつくる可能性」を開催しました。

2018/07/07 / Today's TIMA

山田安紀(伊東豊雄建築ミュージアム)

7月1日(日)にトークイベント「自然と人がつくる可能性」を開催しました。
ゲストに左官職人の久住有生さんをお迎えし、前半は久住さんの生い立ちとこれまでのプロジェクトについてお話いただきました。

久住さんは、瀬戸内海東部に位置する兵庫県 淡路島のご出身です。
自然豊かな環境で生まれ育ったことがご自身のお仕事にも大きく影響しているといいます。
久住さんは左官職人の三代目として生まれ、左官職人になるのをためらった時もあるそうですが、お父さんの勧めで海外に出向き、サクラダファミリアに出会ったことが左官職人となる決意が固まったそうです。
左官職人として活動を始めると、伝統的な左官の作品から平面だけでなく、球体のような立体的な作品を手掛けるなど、新たな試みを挑戦されてきました。
難度の高い作品でも繰り返し試作をしながら、常に前向きでスタッフの人々と笑顔で接し、取組む姿が印象的でした。

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後半は建築家の伊東豊雄と進行役にタウン情報まつやま 編集長の植松郁香さんが加わり、対談を行いました。
対談では以前からお仕事をご一緒にされていることもあり、とても和やかな雰囲気の中、行われました。

植松さんから淡路島出身の久住さんに「島のいいところ」を質問をされると、「島というのは不便さと閉鎖された部分があることだと思います。島独特の文化や歴史が守られているのは、島という海に守られた場所だからだと思っています。淡路島は災害で大きく変わってしまったので、変わってもいいけど、ゆっくりゆっくりと変わっていってほしいです。」とお話されました。

左官の材料でもある「土」については、「土はずっと培ってきた歴史があると思う。人はDNAでそれを感じて、その土地の土の色が好きだったり、落ち着くと感じるのだと思います。僕はその土地の土を使用したいと思っています。」とお話されると伊東さんも「僕も久住さんと同じように考えていて、その場所でしかできない建築をつくりたいと思っています。」と同意されました。

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伊東さんは今治と大三島の魅力を問われ、「僕は特に東京にいるせいもありますが、日本は世界に比べても、自然と切り離されてしまったように思います。特に東日本大震災で被災地に出向いた際に、地元の方を見ていて東京にはこんな人たちいないと思った。地方にはとても魅力的な人がいることに気付かされたきっかけです。だが、復興では地元の人が望んでいるまちづくりは難しいと感じ、大三島にミュージアムを建てていただいたので、大三島でこの問題に取り組もうと思いました。」
さらに「僕は来るたびにほっと落ち着きます。温暖だし、災害も少ない場所ですし。東京での嫌な事を忘れることができます。建築でいえば、戦後の近代建築発祥の地は広島、高松、今治、この辺から新しい建築ができ、今日の建築の層を気づいてくれています。素晴らしい土地です。」

最後に伊東さんから「大三島でオーベルジュの設計を予定しているので、久住さんにもお願いしたいと思っています。ぜひ島でいい土を探してほしいですね。」とお話がありました。

お二人とも穏やかな雰囲気の中に、ものづくりに対する真摯な姿勢と強い思いが随所に見られる対談となりました。
妥協せずに取り組む様子や常に現場の人々とのコミュニケーションを絶やさない姿勢もお二人の人柄を印象付ける内容でした。

この度は、多くの皆様にご来場いただき、誠にありがとうございました。